弓道

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 【道場】
 道場とは仏道を修行する場であり、仏の供養をする場所です。武道ではやはり武芸・武術を修練する場所です。ですから、単に広いスペースがあって練習ができればそこは道場かというと、これは根本から違うといわなければならないでしょう。スポーツの世界でも、伝統のある試合が行われるところとか、歴史のあるチームがホームグラウンドにしているところなど、人々の思いがこもった場所があり、練習にしろ試合にしろ、感慨深く接する競技場があります。とても大切なことですが、道場という意味とはやはり違うように思います。
 私が通った道場は、先生の遺影が飾ってあり、ご縁のある先生方の書や写真が飾ってありましたが、街中にありながらもとても静かな道場で、弓の練習をしているうちに自然と集中でき、気持ちも落ち着いてくるところでした。
 道場主である先生は、私が入門する前年にお亡くなりになり、門弟の会が日常の運営をしていましたが、皆さん先生を慕い尊敬し、日々の練習の中で先生を追い求めて、自分の射を探していらっしゃいました。門弟の方のなかには、自分の地元の道場にも籍を置き、地域のリーダー的役割を担っている方も多く、道場は“弓の大学院”などと言われたりもしていました。私は他の道場は存じ上げませんし、経験も僅かですが、道場のことを考えてみたいと思います。

 
 道場に入ると、下駄箱に靴を揃えて置き、静かに挨拶をして入ります。審判席に供えてある神棚に礼をし、弓を張るなど準備をします。この間、弓友の様子を感じ、練習の集中度合いなどを肌で感じます。控えに親しい仲間がいても、いきなり世間話を始めたりなどはしません。練習中の気を乱さない大切な心得でしょう。
 私は、道場とは人の集まるところ、先生の居るところと考えています。人は道場に集まりますが、それは、目指す弓を練習し刺激しあう仲間がいるからでしょう。何時も一人で練習しているようでは寂しい道場です。そういう意味で、道場を道場たらしめるのは、そこに通ってくる人達で、門人そのものが道場だと思っています。
 弓道を専門にする道場は明治になってから建てられるようになったそうですが、三人立ちぐらいの小さな道場もあれば、ゆったりと10人が立てる広い道場もあります。でもそれは建物の大きさでしかありません。たとえば、全国にある高校の中には、道場を持たない弓道部もあります。体育館やグランドの隅で安全に気をつかいながら練習し、週に何回か市や町の道場を借りて練習に出かける。そんな練習を重ねて立派な成績を出している学校もあります。そういう生徒達にとっては体育館やグランドでも立派な道場です。建物としてしっかりした道場が無い分、一緒に練習する仲間との絆が道場としての重みを増していくと言えるのではないでしょうか。
 ある方から、高段者の方が自分の練習に集中したいあまり、他の門人をシャットアウトして道場を一人で使って練習したという話を聞いたことがあります。確かに集中したい、自分の練習をしたいという気持ちは分りますが、その方は大切なものを勘違いしているのではないかと哀しく感じました。練習時間は自分で作るものですし、高段者、称号者はいつも人に見られることをもって後輩に教え示し、またそれを自分の練習に課してゆく度量が求められていると思います。一緒に道場を利用する人たちに遠慮をさせて、その方は納得する練習が出来たのでしょうか。弓道は仁の道です。人と和してこその弓道で、どんなに称号や段位が高くても、一緒に練習する道場の仲間に助けられているという気持ちを忘れてはならないと考えます。


 さて、人が集まるには、教えをいただける先生がいることが大切です。先生という存在を論ずることはできませんが、指導を受けることの出来る喜び、見ていただいている安心感というのは、かけがいのない事だとつくづく感じています。
 私が通った道場では、門人達がひたすらに練習をしていましたが、先生への畏れ、尊敬があり、先生以外の方を決して先生とは呼びませんでした。教士や錬士が何人もいましたが、皆、○○さんと呼び合い、先生と教えを受ける者の厳格な違いがそこにはありました。
 最近では先生という言葉の意味が変わってきたように思い、残念でなりません。
 そのように大切な先生が道場そのものだと私は思っています。弓道の世界で尊敬できる先生を慕い、教えを受ける場所。それが道場でその道場を守り作って行くのは、そこに集う門人の務めなのだと考えています。先生と門人が両輪となって道場は作られていくのだと考えています。
 私達が生活している家も、住んでいる人の趣味が現れてそれぞれの個性が出てきます。道場も同じで、そこに通う人たちが、道場をどうしたいか、この道場で先生にどう教わるのかをしっかり考えていれば、思いは道場ににじみ出てくるのではないでしょうか。射会に伺った道場や、旅行をしているときにふと眼にとまった道場で「あぁ素敵な道場だな」と思うことがあります。そうゆう道場との出会いは弓人の楽しみの一つです。矢道や垜の整備が行き届いていて弓など道具が整理されて並んでいる。門人の方々が静かに楽しそうに練習をしている。そうゆう道場に出会うと、「此処の人たちは道場を大切にしているな」と嬉しくなります。
 先生が居て、慕い教えを願う弓引きが集まるところ、そこが道場です。生徒、門人は先生の教えを深くうけとめ、弓友の和を願いながら自分の射を研鑽することが大切でしょう。一人一人が道場を大切にすれば、仲間や新しい人たちも道場を大切にし真剣に向き合ってくれると思います。そうであるよう願っています。
 

 【草枕】
 発心と初心  道場  習う  講習会
 教える  教本を読む  審査を受ける  弓を休む
 射法八節  基本体  息合いと間  澄まし
 トレーニング  道具に習う
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 個人  弓具店・用品  流派  弓道場
 宿泊  その他
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